
さてと。『週刊少年ジャンプ2017年第29号』 『シューダン!』第2話 「土曜の夜はカレーライス」の感想です。
一部で話題になっていた晶さんは女子なのか男の娘なのか問題。

どう見ても女子です。ありがとうございます。てか最初から女子って書いてあったし。目次にも描いてあるし。おすし。

少年+少女の物語
わたりさんとは全く違う印象の女の子ですけれど,ただの生意気なスポコン女子には見えません。女子力高いほうじゃないのか,七瀬晶さんは(見た目は)。
さて,前回と打って変わってソウシと晶が腹を割って話をするの巻。なるほど,第2話でぶっこんできましたか,オフモードを。前回,指摘したように『シューダン!』の世界観は少年団あるあるに加えて,小学校6年生ぐらいの男女あるあるを堪能することが可能なわけです。
試合が終わって一段落というところで,案の定男どもが二つに分かれる。将来の勝ち組コースと負け組みコースだ!(おい)

勝ち組候補

負け組候補(違)
ちょいとませた男の子になると女子に対して興味津々あるある。第1話から男子力を示していたロク,そしてここぞとばかり自己アピールのハルヨシ。そしてちょいと朴念仁だけれどきちんとコミュニケーションできるヤマト。
そしてちょいと女子に対して斜にかまえてしまう男子あるある。「いいだろこのチーム」とか言って手を差し伸べていたことを,無かったことにしたいくらいに照れているソウシがまんますぎて別の意味でかわいい。まさに「男」になる前の"お子様男子"の鏡です。

お子様男子
いいなー。眩しすぎるなー,枯れたオッサンには。どっちも思い出あるからなー。
男女の意識なく,ちょいとこ生意気な女子を同性と同じように扱おうとしたり,対抗心を抱いてしまったり。一方で女子であることを意識しすぎて女の子として見るようになってしまったり。
そうやって男の子は男に育っていくのねん...成長期というか思春期だわ。大人の階段上る。君はまだシンデレラだ(え)。
なんというかほしい所にほしいパスが来た感じというか,こういう小6男女の距離感を第2話で堪能できるとは,枯れたオッサンとしてはニヤニヤが止まらないね。なんといっても,当の二人がまだ男女を意識していないところがいい。
本当に意識しちゃったら会話なんかできないからね,このぐらいのガキンチョは。いま,二人は純粋に性の意識の無い「友達」としているからこそのコミュニケーションだよなあ。

ソウシの無意識と"七瀬晶"の主張
「お前」と呼ばれて「私は"七瀬晶"」と主張するところなんか,まさに「それ」だよな。「お前」じゃない七瀬晶という自我に対する承認欲求。相手を「ソウシ」と認めているからこそ,対等の友達を求める「それ」は,小6ぐらいの女子にある男子に対する距離感そのものである。

考えられるやつ
そして何といっても,いま晶の中にあるのは「サッカー」のことばかりというのがよく分かるんですよね。ソウシのお母さんと話をしている時の「礼儀正しくしつけられた,考えられる女の子」としての七瀬さんと,サッカーについて語っているときの「サッカー大好きな女子」としての七瀬さんでは表情が違います。

めっちゃ楽しそうな表情しているもの。めっちゃ嬉しそうな表情しているもの。

もとより女子としての意識に乏しいソウシは当然として,サッカーについて語っているときの七瀬さんとソウシの間には男女という意識がないものね。七瀬さんはサッカーが大好きで,サッカーのことを考えたりサッカーをやっている時が一番楽しんだろうなあ...てのが伝わるんですよ。
その晶の熱量に促されるように,ソウシは「浜西FC」について熱く語るわけです。

浜西FC
ソウシはサッカーはほどほどに楽しんでいるだけかもしれない。嫌いじゃないけれどそこまで熱くない。でも浜西FCのメンバーは大好きで,浜西FCのメンバーとサッカーをするのは好き。少年団サッカーという,たまたまそこに集まった子どもたちにすぎないけれど,そこにいる「いいやつ」とサッカーをするのが好き。
晶とソウシの間には最初意識の"ずれ"を感じたのだけれど,それが「浜西FC」という二人が所属する具体的なチームにおけるサッカーという次元に落とし込んだ時,共通の土台で語れる「仲間」になれたんですよね。価値観の共有。所属意識の共有。
それが最後に「無生にボールを蹴りたくなる」という二人の「同じ行動」に結びつく。この表現はうまいなー,と思いました。

同じタイプ...同じタイプの小学6年生
少年団サッカーをやっている少年・少女たちからしてみれば,こういう「何かが通じて仲間になった瞬間」てのはよくあることなんだろうなー。こういう少年団サッカー「あるある」は読者が作品にのめりこめさせてくれますよね。
とはいえ,まだ浜西FCサッカーに対する姿勢の違いとか,一人ひとりの選手の背景がはっきりしないだけに,いろんなぶつかり合いもあるんでしょうけれどねー。そういうお話しの広がりも楽しみであります。

次週予告
で,来週は早速の対外試合ですか...。「いいチーム」である浜西FCが,七瀬晶というサッカーセンスのある少女の加入でどんな風に面白く,強くなっていくのか気になります。
まあ「ラブコメ脳」の枯れたオッサンとしては,その他の部分も気になるんですけれどね(ぶっちゃけ)。いま全く色気の無い男女空間だけに,なおさらです。男子は一度女子に「女の子」を意識したら落ちるのは早いぞー。
とりあえず,おまえら翌週の少年団より前に週明けの学校での再会が先だよな(笑)

まずは学校,話はそれからだ。
七瀬さんのことだから,きっと色気の無いズボンとか履いて登校するんでしょうけれど,普通にスカートはいて女子女子していたらそのギャップにソウシがドキドキするの間違いなし(たぶんそういう展開はなくいきなり試合だろうけれど)。
それにあれですよね。何気に七瀬さん,これまでも男子の部屋でサッカー談義したことあるような経験豊富さを見せ付けていますけれど,これっていつかかつての仲間チームと対戦するフラグですよね。さすがは「シューダン!」の岬太郎(お)

「シューダン!」の岬太郎
サッカーでもイケメン度でも張り合いたくなる,そんなライバルのサッカー少年の登場が今から楽しみです。オッサンはラブコメ脳が止まらない。
ヤスに完全同期しそうな『シューダン!』第2話でした。まる。

完全にヤスと同化したオッサン
横田先生の前作,「背すじをピン!と」第10巻はこちら。
カレーライスは金曜日じゃなくて土曜日なのが『シューダン!』の世界。いずれ七瀬家のカレーライスにお呼ばれするソウシとか見られるんでしょうか。
サッカーのポスターだらけの女子っ気のない七瀬晶さんの部屋が気になります。
*画像は『週刊少年ジャンプ』2017年第29号より引用しました。