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『シューダン!』第4話 「外来種は刺激する」 感想

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さてと。『週刊少年ジャンプ2017年第31号』 『シューダン!』第4話 「外来種は刺激する」の感想です。


先週4月の始業式を行っていたと思ったら,もう黄金週間の手前まで来ていました。展開速いなー。


で,だ。



糟糠の妻(用法が...)

重ねた月日の長さから。当然のようにソウシの家の居間でお茶をすする晶さんは,まるで糟糠の妻のようです。ありがとうございます(謎お礼)。

いやま,早く迎えに来ちゃった七瀬さんに,外で待たせるのもなんだから,ちょっと上がって待っていてよ...というだけなんですけれどね。


...
......



さて今回のテーマは「外来種」は刺激するというお話。

植物には些か詳しいユウキくんの解説が枕となっていますね。外来種のメリケントキンソウの種のトゲトゲが痛いという話から,今年度からチーム加入した七瀬晶さんが浜西FCのメンバーの意識改革を刺激するという展開に結びつけているところがニクイです。


浜西FCは昨年まで「結果」を出せていない。ロクという逸材がいるにせよ,チームメイトのサッカーにかける情熱には温度差がある。七瀬さんに影響を受けた,他ならぬソウシでさえ,「クリーン作戦面倒くさいなあ。行きたくねえ...」というレベルの意識です(それちょっと意味違う)。


「強くなる」という意識共有の欠如は,自信の無さの裏返しでもある。俺たちは本当はもっと強くなれるんじゃないか...という漠然とした「何か」を持ちつつも,「結果」を出していない。だからいま一つ信じきれない。だから「強くなろう」「勝ちたい」という気持ちがチームとして表に出てこない。


それが七瀬さんがチームに入ったことにより,ロクとコンビを組めるくらいのボール運びができるチームになり,結果として攻撃のリズムが整うようになる。
そのおかげで他のチームメイトの動きもチームとして機能するようになり,これまで勝てなかった天龍SSSに勝利をすることができた。浜西FCは結果を出したのです。


一見すると七瀬さんの加入がチーム力を上げたように見える。しかし七瀬さんはそれを明快に否定する。




「元々強いんだよ このチーム...!!」


という言葉は,第2話でソウシにぶつけたことばそのまんまです。



ニヤリ

チームとしての変化を促したのは七瀬さんだけれど,あくまでそれは刺激剤としての役割です。七瀬さんの貢献度のみで何とかなったわけじゃない。もともとチーム自体はポテンシャルが高かった。それが七瀬さんの影響でうまく歯車が回るようになった。

言い換えれば,そこそこの素養のある個と個のチームにすぎなかった浜西FCが,チームとして機能するようになった。そこにあるのは触媒としての七瀬さんであって,チームを劇的に強くするようなスーパースターとしての七瀬さんじゃない。


しかしその七瀬さんが「このチームは強い」と天龍戦を通じて,そして言葉を通じて「俺たちは本当は強い」という意識共有を促した。七瀬晶という新たな仲間がもたらしたプレーや言葉がチーム全体の「強くなれる」と一体感を生み出したわけですねえ...。なるほど。


俺たちは強い!(確信)


ま,実際「個」としてみた時のソウシやヤスだけでは勝てないというのは,球技大会の試合結果を見ても明らかなんですけれどね。ロクに及ばないとはいえ,七瀬さんのプレーが凄いというのもまだ事実なんですけれど。

「誰」がいるから強いのではなく,浜西FCがチームとして機能した時は強いということがよく分かるエピソードだったのではないかと思います。


...
......


さて。
そんな球技大会ですが,同じ学校内に別の少年団のチームの選手がいるという展開。脅威の体格・"巨神兵"渥美大地。近づくと噛み付きそうな同・西美園FCの鴨志田聖士郎。



なぎ払え!

なぎ払え!と命ぜられて咆哮しそうな強烈シュートを放つ渥美大地くんですが,なるほど,このくらいの年代で中高校生並みの体格をもっていれば,センターサークルからのロングシュートを決めるってのはあるかもしれませんね。球技大会レベルの狭いピッチでしょうし。


黙して対等の立場として七瀬さんを脅かす渥美大地くんはさることながら,男子に混じって女子がプレーすることを「不純」と言ってのけたり,「真剣にやっていない」といわんばかりの鴨志田くんはなかなか悪い奴(いいやつ)ですね。


後でめっちゃ後悔するスタイル


こうした扱いをこれまでも七瀬さんは受けたことがあるのかもしれませんが,「真剣にやってない」といわれて黙っているタチじゃない。前回の天龍戦同様に男女の身体的能力差の問題を取り上げつつ,あからさまな女子否定にプライドを刺激されるというこの展開。


「仲間」として受け入れてくれた浜西FCのメンバー,「敵」として認めてくれた天龍SSSの選手とは異なる西美園FCの鴨志田君は,七瀬さんにとっての"外来種"であり刺激でもある。



マジ切れ・晶さん

さあ盛り上がってまいりました!といった観で以下次号。七瀬さんのピキピキが吉と出るか,凶と出るか。私,気になります。まる。




...
......
.........


以下,余談。


『初蹴りの豚汁』

正月の朝五時に河川敷に集まってサッカーするとか,そんな風習が浜松にはあるのかしら。それとも,少年団サッカーでは普遍的な出来事なんでしょうか。普通家族で過ごすんじゃないの,正月...。

しかし,よく読んでみると別に「元旦」とは書いていない。三が日やら松の内まで含めるなら,別段不思議なことでもないなー。二日も過ぎれば家にいても飽きてきて,友達と遊んだほうが面白いってなりますし。おすし。


TO・N・JI・RU-!!

てか,豚汁にそこまで興奮するのか,女子小学生。七瀬さんのツボが面白すぎる。



『ロクの事情』

ロクさんは試合に参加してくれるだけで万々歳とか。ふむ,ロクさんのチーム参加事情がどんなものなのか,気になってきましたね。



哀愁のロク

初蹴りに参加できないというあたり,家庭の事情を感じます。それってどういうものなのか,ですよね。そもそもロクさんの背景一切語られていませんし。


裕福とか貧乏とか,単純なベクトルではないのかもしれませんけれど,それがどっちの向きに振り切っているのか気になります。ロクさんの小学校がどこなのかも語られていないのですが,なんとなく「恵まれた環境にいるんだけれども...」という感がなくもないですね。


例えば私学の進学校に通っているとか。お父さんとかがプロのサッカー選手とかで,才能にも家庭環境的にも恵まれているんだけれども,その分いろんな拘束というか制約があるのかもしれませんなあ。



逆に恵まれていない環境というのは想像しにくいんだよね。


育ちのよさを感じる

男女関係に機微なお姉さんもいるということですし,ヤマトの参加に驚いたことからも同じような(恵まれた)立場なんだけれど違いがでたことに驚いたようにも見えます。

なによりロクさんには貧乏とかハードな家庭環境みたいな空気がビジュアルから感じられないんですよね。育ちのよさを感じるというか。

とかいって,正月早々家計を助けるために新聞配達するロクさんとかだったら,それはそれで泣ける。日向小次郎かよ...みたいな。真相はどうなのか,気になります。




『ソウちゃん』

寝起きに不意を撃たれて「ソウちゃん」呼ばわりを聞かれてしまった桜田創始くん。意外だったのは晶さんの「ソウちゃん」呼びを受け入れたことでしょうか。



七瀬さんが「自分は七瀬晶」であることにこだわってソウシに訂正させたのと裏腹に,ソウちゃんを受け入れたのはなぜか。それは目の間にいる距離のある相手としての「お前」ではなく,桜田創始という人間とのサッカーを通じた仲間に対する「親しみをこめた」呼びかけだからかもしれないな。


その違いが分かっているから「オレは,桜田創始!」と訂正させなかったんだろうし,晶さんも悪意や距離感を持って述べているわけではないから嫌悪感をいだかなかったのだろうなと思ったり。


それでも一応「いやなら止める」と断りをいれ,それに対してソウシは「別に...いいけどよ」と答える。二人ともそこに「仲間としての距離の近さ」を感じ取ったからこそですかねえ。



それに対する「んっ ありがと」というお礼は,その距離感を認めてくれたソウシに対する素直な感謝の気持ちだったのでしょう。



『今日のヤス』



相変わらず面白い奴...。パース狂っているって,そういうメタ発言がにょろっと入り込むのも横田先生の遊び心ですかね。




てか,七瀬さんの「ソウちゃん」呼びに敏感に反応するヤス。お前の面白さが加速して止まらない。




横田先生の前作,「背すじをピン!と」第10巻はこちら


余禄。

今回の掲載順,連載4回目にしては後方だなとか思ったんですけれど,これ単純に「青春ナンバーワン」の振り出しがサッカーだったからつなげたかっただけなんじゃ...とか思ったり。


サッカーつながりかよ!?


そうだとしたら,編集構成の遊び心が面白いと思いました。まる。



*画像は『週刊少年ジャンプ』2017年第31号「シューダン!」第4話 及び 同・「青春兵器ナンバーワン」第35話 より引用しました。

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