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『シューダン!』 第3話 「思春期と龍とそのすみか」 感想

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さてと。『週刊少年ジャンプ2017年第30号』 『シューダン!』第3話 「思春期と龍とそのすみか」の感想です。



前回,浜西FCを通じて「友達」になれたソウシと晶さん。案の定,学校は同じ小学校でした。ていうか,隣のクラスだった。


「七瀬=女子!」


よし!(何が?)


『シューダン!』始まったな!


先週も思ったけれど,欲しい所に欲しいパスが来るよねえ...横田先生は。これだよ!こういうキラーパスが欲しかったんだよ! 読者シンクロ率が100%に達しそうな勢いです。本当にありがとうございます。


ちょっと小生意気なサッカー少女が,学校では普通に「女子」している。このギャップこそ華。このギャップこそ思春期をこじらせている小6男子の魂をガンガン揺さぶってくるよねえ...。


なんというか「分かる」んですよ,ソウシの気持ちが。

だってみんなそうだったでしょ。小学校6年生ぐらいの頃,"スカートはいている女もどきの男"ぐらいにしか思っていなかったクラスメートが「すまん...ありゃあ女子じゃった」と意識した時の気まずさを知っているでしょ。



逃げる男


でもって思わずつれない態度をとってしまう。あるわー。まじあるわー...。これは少年時代を懐かしむ世代も,現役の小6世代も共感できるやつですよ。男女を意識しない時は友達として接せられるのに,女の子を意識したらもうアカンというアレ。

第3話にして美味しい具材を美味しく料理してくれるなんて,本当に欲しいところに欲しいパスが来たって感じで枯れたオッサン悶絶ですよ。



一方,中身はサッカー少女の晶さんには訳がわかんないわけですよ。


あっれー...ついこの間,ソウシ君のベッドの上で語らったばかりだよね?(性的な意味ではない)。


SBT(スーパーベッドタイム)とは何だったのか

私たち,浜西FCの仲間として心を通わせなかったっけ...?あ,あっれー...?



てなもんですよ。晶さんからしてみれば。そりゃ複雑な気分にもなりますわな。

だって晶さんはソウシに「男子」を意識していないんですもの。男子とは"サッカーを一緒にする相手"であって思春期の対象ではない。そういう意味では晶さんの方がまだそっちは未成熟なのかもしれませんね。「男子はトモダチ怖くない!」てか,むしろ「すっごーい!たーのしー!」ぐらいにしか思ってないでしょうから。

だからね。晶さんからもソウシに絡まなくなったのは,別にソウシのこと「男子は面倒くさいなあ」とか性差を考えて距離をとったわけじゃないんですよ。むしろそんなのは全然関係なくて,単純に「私のこと浜西FCの一員としてまだ認めてくれていないんだ」と思ったんですよね。


だからこその,この素拳の一発ですよ。



素拳の一発(波紋入り)←嘘

うむ。いい右ですね。世界を狙えます(え)。

個人的に素拳の一発のベストシーンの一つとして「ジョジョの奇妙な冒険」第2部の序盤,スピードワゴンが死んだとエリナおばあちゃんに告げたことに怒りを発したジョセフ=ジョースターがマフィアに食らわせたオッパァァ!な一発が挙げられますけれど,それに匹敵する一発です(おい)。



で,その仲直りのきっかけとなったのがソウシの謝罪なわけですけれど,それがこの浜西FCと天龍SSSとの試合の中で気付かされるという流れがいいじゃないですか。



ソウシの葛藤

少年団のサッカーの中で,ロクやみんなは七瀬さんのことを「仲間」と認めて戦っている。相手の天龍SSSの選手でさえ,はじめはあった「女子」に対する遠慮をなぎ払い,全力で「敵」とみとめて戦ってくれる。そんな事実を七瀬さんは「嬉しい」と思う。



自分の仲間も,対戦相手も,七瀬晶さん自身もそのことを受け入れているのに,なんで自分は七瀬晶を「仲間」として認めてやっていなかったのか。


己を乗り越えるソウシ


なるほど,桜田創始は女の子が苦手である。晶の中に「女子」を見出したことで本能的にとってしまった回避行動,その愚かさを認める。その上で,女子だろうと何だろうと七瀬晶は「仲間」であると再認定するながれ,それをサッカーを通じて表現する件がまたいいんですよ。




試合運びにおいてソウシが七瀬さんを認めて「パス」を要求する。仲間として再認知されたことにすぐに気づいた七瀬さんは躊躇わずソウシの脚力を信じて「パス」をする。ソウシがナナセさんを仲間として再び認めた流れから,同じ仲間であるロクとのワンツーで見事ゴールを決める。



サッカー仲間

ナナセさん・ソウシ・ロクたち仲間たちが再び「一つのチーム」として,仲間として一つになった結果のゴールなわけです。少年団サッカーという共通の土台が再びチームの人間関係を一つにしてくれた瞬間。まるでサッカーが「言語」の代わりのように気持ちを一体化させるその流れですよね。スポーツをやっていれば誰もが経験するであろう「あるある」がきちんと表現されていて上手いなあと思いました。




ロク先生

とりあえず,これで七瀬さんはソウシの中で仲間として認識でこれはもうぶれないと思うのですが,それはそれやっぱり女子は苦手なんですよね。晶さんはサッカーから離れた場ではもっと女子女子してソウシを惑わせてやればいいと思います。

それでいいですよね,ロク先生(何が)


...
.....


さて今回の七瀬さんの表情の切り替えが良かったですよね。学校の時と,試合をやっているときの表情の違いが歴然としています。


女子としての晶・サッカー選手としてのナナセ

小学校の時の穏やかな女子の表情と,サッカーの試合をしている時のサッカー選手としての表情と。サッカーしている時のイケメン度が半端ないことになっています。

やだカッコいい...て女子に惚れられても不思議ではない(え)。




そしてもう一人のキーパーソン,ロク。

そろそろロクさんについて掘り下げが来るんだと思うのですけれど,それにしても男子力高いよねえ。バスの中でもきっちり晶さんとコミュニケーションしているし,倒れた晶さんにさっと手を差し伸べるとかさ。



男子力高い系・ロク

まあこれは「仲間」としての行動なんですけれど,ロクさんの場合「女子」としても七瀬さんを認めた上での行動なところがソウシとの違いですよね。




常にソウシの一歩前を歩く男ロクさんのイケメンぶりは,なかなか将来の波乱要素ではなかろうか。

だってそのうちソウシさん,七瀬さんを女子として意識しちゃう...てか,ぶっちゃけ好きになっちゃうでしょ(決め付け)。でもってその時ロクは間違いなく最大のライバルとかって認識せざるを得ない。イケメンで女子扱いも上手い,サッカーも上手。


どんどんソウシが拗れていくのが目に浮かんで超ニヤニヤです。でもってこの頃の少年って,絶対的上位の存在がいると悶絶する割にはあっさり諦めてしまうようなところもあり,その時にロクと七瀬さんがどんな行動にでるのかも今から目に浮かんでニヤニヤです。


そういう「あるある」が読者の琴線をビンビン触れてくる漫画なんだと思うので,ぜひそういうニヤニヤ展開をお待ちしております。まる。







横田先生の前作,「背すじをピン!と」第10巻はこちら



もう一つロクの話。

ロクさんは浜西FCでは突出した存在で,それは強豪の天龍SSSにも通じるくらいの個人スキルを持っているわけですよね。それだけの存在ならば,当然,他の名門チームからも声がかかったり,そのまでのスキルを身に着けるまでの「背景」があったはずです。

彼が浜西FCを選んだ理由てのも今後描かれることの一つなんでしょうな。それがロク本人の「自由選択」によるものなのか,「挫折」によるものなんか,はたまた他の理由なのか。

いまのロクさんからみると「挫折の影」みたいなものはあまり感じられないのですが,一見ヒーローな彼の隠れた側面みたいなものがあっても物語的には面白そうだとかおもったり。今後の展開が楽しみです。




そして安定のヤス。




*画像は『週刊少年ジャンプ』2017年第30号「シューダン!」第3話より引用しました。

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