さてと。それでは『週刊ヤングジャンプ2018年第01号』「かぐや様は告らせたい」第80話 大友京子は気付かない の感想(かぐ活)です。
なるへそ。

そして石上優は目を開けた
前回すでに示唆されていたことですが,結局のところ「石上優」は自ら見ようとしなかったから見えていなかっただけなわけですよね。真正面から向かって見てみれば,みんながみんな石上優に敵意を抱いているわけじゃない。
実際のところ,大友京子本人にしたところで「荻野と別れてしまった」ということだけが唯一の被害らしい被害なわけです。彼女が秀知院にいないのは,転校したからというわけではなく単純に学力不足で「進学できなかった」だけ。

アホの子・大友京子
もう一人の当事者であるところの荻野は転校したようですが,こうしてみると疑問が生じます。
具体的な「被害者」とやらが既に秀知院に存在せず,当の大友自身が「秀知院は楽しかったことだらけ」といえるような雰囲気でクラスメートと分かれたのであれば,「本当にそんなに石上優は同級生から憎まれているのか?」という点が腑に落ちないわけです。
その一つの回答がリレーの結果に対するみんなのレスポンスなんでしょうね。
リレーに勝つことで今進もうとしている自分の道は「正しかった」と証明しようとした石上優。結果は惜しくもゴール直前で逆転できなかったわけです。石上を否定する者に対して「見返す機会」であったはずのリレーで結果を出せなかった石上は思い込む。

思い込み
やっぱり自分は駄目なのかと。
周りもそのように思っているのかと。
そこにあるのは,「周りの人間は自分を認めていない」「自分を否定的に見ている」という石上優の思い込みである。実際に目を開けてみれば,そこにいるのは「自分を認めてくれた人たち」だった。
負けたことに悔しがっていた石上に共感を示してくれた子安先輩。
石上の走りを率直に褒めてくれた団長。
「気にするなよ」と慰めてくれたクラスメートの小野寺さん。

石上を「見て」,認めてくれる人たち
目を開いて「見て」みれば,そこにいるのは自分を認めてくれる「いい人」たちだった。
石上優を最も理解してくれる白銀会長。そんな可愛い後輩を生暖かく見守る四宮副会長。ハーサカさん,藤原書記,伊井野さん,大仏さん...周囲を見回せば石上優を認めてくれている人はたくさんいる。前回,「たった一人でも自分を認めてくれる人がいるなら」と回想していた石上だけれど,会長だけではない,石上を認めている人はたくさんいたわけです。
石上優という人物をきちんと見て。石上優の行動をきちんと見て。
きちんと見てみれば,石上優は非難されるだけの人間ではなく,筋の通った正義の人であるということは分かる。
そのことは秀知院のエグイVIPたちも知っているわけですから,なるほど上級生の面々が石上に対して同級生のような態度を取らなかったことも頷けます。

エグイVIP(含・柏木さん)
加えて言えば,そもそも同級生だってどれくらい石上優を嫌っていたかよくわからない。

この声は「本当」の声なのか?
当事者の二人がいなくなり,石上優にあからさまな反感をぶつけてくるのはかつての大友京子の友人ばかり。「実際に石上優を批判している声」はそんな大友に近しい者であって,それ以外の声というのは実は石上優が妄想の中で「自分を批判している(と思い込んでいた)声」だったのかもしれない。そんな印象も今回のリレーの最後のシーンから感じなくもなかったり。

こんなこと
そりゃ小野寺さんも伝聞からこんなこと投げかけていましたけれど,それに対する石上の反応や,応援団活動を通じた石上の活躍は率直に認めていたわけです。石上の人格全体を否定するような嫌悪感をぶつけていたわけじゃない。

あんなこと
そういう意味では,同級生の多くも「石上ってこんなやつ」という印象が残っているだけで,実際の石上と話したりその行動をきちんと見たりしていたわけじゃない。その程度の距離感。その程度のことだったのに,石上優が周囲を見ようとしなかったから全世界が自分を否定しているように「思えた」。

石上優の「気付き」と「勝利」
それだけのことだったということに石上が気づいたのが今回最大の「石上優の勝利」なのかな,と思ったり。
そして今回,石上のがんばりを「認めている人がいる」ということがはっきり描かれたことは大きいかもしれませんね。これまで印象論で石神を否定していた人たちも,「リア充な人たち」が石上優を評価していると見せられたわけですから,同級生の反応も変わるのかもしれませんね。
...
......
で。
今回のタイトルは「大友京子は気付かない」であり,「そして石上優は目を開けた」ではなかったわけですけれど,その理由もなんとなく分かります。これは対になっているんだね。

「気付かない」女
石上優が周囲を見ずに周囲の石上に対する本当感情に「気付かなかった」ように,大友京子は自らにおきたことも,そこで石上がどんな努力をして彼女を守ったのかも,その結果大友京子がどれだけ幸せなままでいられたか,どんなに自分が幸せな存在なのか「気付かなかった」。
今回,石上優が自分の周囲に「気付けた」こととの対比で,「気づけなかったことによる幸せ」を描いたのが今回のお話というわけですよ。だからサブタイトルは「大友京子は気付かない」でよいわけです。
それは四宮かぐやさんのような厳しい人物から見れば,少々虫のいい話というか,恵まれすぎたオバカちゃんと感じてしまうというか,そんな彼女のある種の「無邪気さ」と石上優が耐えた「苦痛」を比較して"いじわる"を言っても見たくなる。

イジワル
それはもちろん,早坂さんに止められるまでもなく「言うつもりも無い言葉」です。その無邪気な幸せそうな笑顔こそが石上優が守りたかったものであり,それがきちんと守られたことに石上優の「報い」なのですから。

石上優の「報い」
そんな誠実だけれど不器用な生き方をしてきた石上優という男を「認めている」からこその,「本当...可愛い後輩だわ」というかぐや様のセリフなのかな,と思ったり。まる。
『今回の藤原書記』
破れた石上に思わず声をかけようとした伊井野さんをすかさず止める会長と藤原書記。
この「分かっている」感がいいですよね。
端から見れば,石上優は応援団の面々から認められているわけです。きちんと石上を見て,きちんと石上を評価している。だから最後にアンカーとして応援団代表で出た石上に対して,応援団の面々がきちんと石上優を評価して反応してくれることを「分かっている」

止める
だからこそ,伊井野さんを止めたわけです。
周囲は石上をきちんと見ている。だから石上優は自分がきちんと認められていることに「気づいてほしい」。
そう思ったからこその,この藤原書記と会長の行動ですよね。いいですよねー...ほっこりするわ。
そしてそんなほっこりしたまま終わらないのがまた藤原書記ですよね。
石上優を結果的に勝たせてやれなかった理由が「TG部」。

TG部は本当に酷いことをしたよね...
おまえか!お前らの部活がやらかしたのか!
というわけでせっかくいいシーンだったのに何気に減点があるのが藤原書記のいいところだな,と思ったり。
『今回の伊井野ミコさん』
中学校から高校に進級する際にも伊井野さんはきちんと石上優を「見て」「評価していた」わけですけれど,今回もそういうシーンがきっちりと描かれました。

漏れた本音
いつも石上を罵倒する為に存在する伊井野ミコちゃんマウスから「がんばれ石上」の声が漏れる。
彼女もまた伝聞で人を評しない,正義の人である。
石上優の頑張りを率直に見て,率直に応援できる人であるということがここに証明されたわけです。
そして先ほども触れたように,破れた石上に声をかけてやろうとしたその行動...。
いよいよ来たな,ラブコメの時代が!
これはあれですよね。
いずれ石上優をきちんと見て,伊井野さんが石上に恋しちゃう展開が待っている。そんな予感。
だがちょっと待ってほしい。
ここに来て石上優の周囲に展開する女子が急増中である。

石上戦線異状なし
石上優の正義をかげながら認めてくれた可愛い(希望的推測)風紀委員,大仏こばちさんが!
石上優を認めてくれた,可愛い先輩,子安つばめさんが!
落ち込む石上を慰めてくれた,可愛い同級生,小野寺さんが!
そして堕ちた本作のヒロイン,可愛い書記,藤原さんが!
そしてツンデレの極み,ポンコツ可愛い風紀委員の伊井野ミコさんが!
まあ,石上からアタックしたら多分全員に振られますが(おい),相手から石上を好いてくれる可能性が微粒子レベルで存在する!
これはあれか。石上優が陰キャから突然ハーレム状態になるToLOVEる展開か(ああ,だから本作の「裏主人公」...←違)
などとまずあり得ない未来を妄想しつつ,今宵は石上優のつかの間の栄光を噛み締めよう。
再度まる。
かぐや様は告らせたい~天才たちの恋愛頭脳戦~ 1 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)
かぐや様は告らせたい~天才たちの恋愛頭脳戦~ 2 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)
かぐや様は告らせたい~天才たちの恋愛頭脳戦~ 3 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)
かぐや様は告らせたい~天才たちの恋愛頭脳戦~ 4 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)
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かぐや様は告らせたい 7 ~天才たちの恋愛頭脳戦~ (ヤングジャンプコミックス)
画像はヤングジャンプ2018年第01号「かぐや様は告らせたい」第80話,及び同 第75話,第79話より引用しました。