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『シューダン!』 第20話 「勝利の女神と大和魂」 感想

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さてと。『週刊少年ジャンプ2017年第48号』 『シューダン!』第20話 「勝利の女神と大和魂」の感想です。


勝利を決して諦めない,七瀬晶という少女の存在がいかに大きいものか,よく分かりますね。


負けることに慣れ続け,負けたところで気にすることも無くヘラヘラしていたチーム。エンジョイ勢といわれても仕方が無いような,そんな自分。なのになんでこんなに一生懸命頑張っているのだろう。




桜田創始


桜田創始は考える。

同点に追いついたとはいえ,まだ勝敗が決したわけでもないのに敵の八巻律に心配されるほどの体力の消耗。全国大会の地区予選,リーグ戦だからこの試合に負けたからといって全国にいけなくなるわけでもない。地区王者の追塚SCに勝てなくても不思議ではないし,普通にやれば負けるに決まっている。

そんなに「一生懸命サッカーをやる」ような男ではなかったという自覚が桜田創始の中にははっきりとあるわけです。



全力少年s

にもかかわらず,この試合に勝つことに執念を抱き,崩れ落ちそうな体を必死に保ちながら動こうとするのはなぜか。両角禄郎がサッカーのスタンスを変えてまで全力少年となったように。一人ひとりが自分の長所を限界まで引きずり出して,「勝利」を目指すようになったように。


その理由はただ一つ,七瀬晶の存在である。



七瀬晶

チームを変えるきっかけを作ったサッカー少女・七瀬晶は決して勝利を諦めない。同点ゴールを決められても,延長戦になったら体力勝負で負けると分かっていても,決して勝利を諦めない。いつもサッカーに対して全力であり続ける「全力少女」ナナセが諦めていないからこそ,桜田創始も浜西FCの面々も諦めるわけにはいかない。



告白

「渡さねーよ...! あいつがきてからうちは負けなしなんだ...!」
「あいつはうちの 勝利の女神だからよ...!!」


うん。
あ,はい。

ソウちゃんのナナセさんとサッカーに対する情熱がにじみ出た超絶「決め」のシーンであります。うん,格好いい。格好いいよ,ソウちゃん...


あー,でも,これ普通に素に返ってみたら赤面もののセリフだよね。ベッドで掛け布団被ったまま,ころげまわって「うわぁぁぁぁぁぁぁぁあッッッ!!」て転げまわるレベルですよ。

まいったね,おじさん。申し訳ないけれど流石にこれはニヤニヤのあまり笑ってしまいましたよ。一読した時は真剣に読んだけれど,二回目以降はもうダメである。ソウちゃんの黒歴史やな,とか思ってしまうと思わずプフーッ!としてしまう。


思わず噴出すayumie【イメージ】
(ワンピース 798話より)


試合終了後にきっと律くんにばらされちゃうんだろうなあ(ニヤニヤ)とか思うと否が応にも破顔せざるを得ない。せっかくの決めシーンにすまんな,ソウちん。



...
......



ああ女神さま!

そんな勝利の女神様の存在が,桜田創始の動かない体を動かせる。桜田創始,最後の全力疾走を受け止めるのはその勝利の女神・ナナセ。そしてナナセさんからソウちゃんへのパス...!


が通らない。
例の事情通ぶったよくいる奴...ではなくて,追塚SCのキャプテンによるクリアーを食らう!


積み重ね


追塚SC・キャプテン長谷川の無情な声が浜西FCの面々に突き刺さる。

「キミたちのような まだまだ何も積み重ねていないチームが
 僕たち積み重ねてきたチームに勝つのは まだ早い」


うむ。
勝利に対する意欲が芽生えたとはいえ。全国大会優勝を目指して全力疾走する「集団」に進化したとはいえ。浜西FCにはまだ結果は何も無い。やる気を出したくらいで圧倒的なチーム力の差がひっくり返るなんてありえない。


振り返れば,コーチが全国大会優勝という目標を掲げた時,それを目指すことを浜西FCのメンバーが決めたとき,読者の中で同じような気持ちは無かっただろうか。ちょいとエンジョイ勢だったチームが,勝利に執念を燃やすプレーヤーが一人入ったくらいで「全国優勝」なんて目標を掲げるのは荒唐無稽であるという気持ちが。

これまで何年間も勝利を目指して「全力」で頑張ってきた全国の強豪に対して,たかだか数週間「全力」で頑張ったチームが簡単に勝てるようでは「まるでマンガだ」という気持ちが。


長谷川のセリフはそのまんま,読者が心の中で思ったであろう「常識的な考え」そのものである。それに対する明快な横田先生からの,浜西FCからの回答がキャプテン・大和哮の言葉じゃないだろうか。プレーじゃないだろうか。


積み重ねた敗北の数だけ悔しさがある。それを跳ね除けるために必死になって全力でサッカーに向き合っている。それは単純な「結果」の差とは関係ない,勝利への執念である。七瀬晶がチームにもたらした,サッカーに対するひたむきな想いとプレーである。


キャプテン・大和

それを見せ付けてくれた,キャプテン・大和哮の豪快なゴールでした。まる。



...
......

以下余談。


『ヤマトと波動砲』

いやさね。前回こんなことを書いていたんですけれどね。


試合展開的には,超ロングシュートとかで逆転ゴールというのは力技過ぎるというか,ちょいとご都合過ぎるので,おそらくこの試合の決定点にはならないのでしょうが。どこかで波動砲も絡んできますかね。


波動砲きちゃったよ!

展開的にまだ1,2分あるはずなので,これで「決勝点」となっていないかもしれませんが,ここからもう1点ずつ取り合ってという展開はあるのかいな。どうかいなって考えた時,まあこれが決勝点になってもおかしくない,素晴らしいゴールでありました。





ドン!
(『ワンピース』第792話 土下座 より)

あの強力な波動砲を"ご都合すぎる"という憶測の下...
第19話の感想として締めに書いたのは
紛れもねえ「現実逃避」にござんす!!

浜西FCの皆々様...!! 「シューダン!」スタッフの皆々様...!!
「現実逃避」を代表して 深く深く詫びを申し上げやす...!!!

本当に...!!!すまん事をしやした...!!!










11月2日は待望の『シューダン!』第1巻も発売。


きたか...書影....(by DIO様)

ソウちゃんだけが体を読者側に向け,後の面々はゴールポストに体を向ける。でも顔はみな,こちら側を向けているというね。そして右に七瀬晶,左に両角禄郎,そして先頭には大和哮キャプテンによる,浜西FCのメンバーという陣形であります。


なるへそ。
集団となって勝利を目指すチームとなった浜西FCの姿勢を表すと共に,読者に対してメンバーは笑顔を見せるという素敵な構図じゃないですか。


なかなか書影が出ないんで,どうなっているやらホイとホイコーロ国王みたいになっていたわけですが,今回のお話のラストシーンと照らし合わせると,この絵も感慨深いものがありますね。七瀬晶の加入から始まって目指し始めた勝利のゴール,それが結実した今回のお話とがね。

狙ってこのタイミングだったのか,たまたまだったのかは分かりませんが,こうなると第2巻の書影も気になるところですな。なんとなく,第1巻と対になっていそうな気がしますが。私,気になります。





*画像は『週刊少年ジャンプ』2017年第48号『シューダン!』第20話 「勝利の女神と大和魂」より引用しました。

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