
さてと。今週も引き続き『恋と嘘』第118話 の感想です。(最新話 第119話 2017/02/05更新分の感想はこちら)
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前回の引きで,莉々菜が言っていた「練習」とやらは,キスの練習でした。うん,まあ話の流れからキスしかなかったわけですけれど,まあね。キスという行為が自分たちの「気持ち」を再確認してしまって,最初に出した「結論」にも関わらず...みたいな展開になるのかと思ったらそうじゃなかったぜ。

実際のところ,二人の間に通じている気持ちは前回指摘したとおり「恋」としか言いようのないそれである。キスの練習,と言いながら通わせるその思いは,明らかに練習以上の気持ちが込められている。それは「恋」としかいいようのないものではあるまいか。
こんなに情熱的に,相手を求めるキス。その裏にあるものが「恋」であることはあきらかなのに,二人はそれを見過ごすのはなぜか。

見過ごされた恋
二人が最初に出した結論。高崎美咲にまたあの笑顔をみせてほしい。そのためにはネジと美咲は結ばれなければならない。ネジにとっては恋する相手として,莉々菜にとっては大切な友人として「好き」な高崎美咲に笑顔であってほしいから。だからこそこの「恋」を無碍にする「嘘」をつく。
やはり二人は自分たちの気持ちが「恋」だってわかっているわけです。わかった上でそれを見過ごす。二人にとって大切な人である高崎美咲のために。
で,肝要なのは次の一文ですね。
「多分その選択は正しくて そして決定的に間違っていた」
ここから得られる推測は,二人の結論は高崎美咲には受け入れてもらえない,ということですよね。二人の選択としては正しいのだけれど,「間違っていた」という言葉からは高崎美咲がその結論を受け入れなかったことが示唆されている。
「僕達には知らないことが多すぎた」
という一文は,まさしく先の感想で推測した「美咲はすでに政府通知制度を辞退している」といったような,高崎美咲の裏事情の存在があることを予感させます。
ふむ。前々から思っていたのですが,『恋と嘘』は最終的にネジが美咲を選ぶにも関わらず結ばれないような,そんな悲恋で終わらせるつもりなんですかねえ。ネジと莉々奈はネジが美咲と結ばれることを期待するのだけれど,高崎さんは頑なにそれを拒否してい受け入れないとか。
そういえば,仁坂と高崎さんがロミオとジュリエットを演じたことがありましたけれど,あの二人が演じた役は「結ばれることのない恋」でありました。根島由佳吏という人物に恋するであろう二人...高崎さんは政府通知制度,仁坂は同性という「超えがたい壁」の存在は合受け入れない家の対立とディスコミュニケーションから生じた行き違いという「壁」に共通するものがあります。

意味のある恋
いま,ネジと莉々菜が出した結論,それはネジと高崎さんに結ばれてほしいという二人の本当の気持ちであるにもかかわらず,それが高崎さんに届くことがないのだとしたら。ディスコミュニケーションの果てに結ばれることのなかったロミオとジュリエットのように,ネジと高崎さんは結ばれることもなく,かといって莉々菜とネジが結論を改めることもなく...みたいなそんな結末になってしまうのでしょうか。

たった一つの真実
願わくば,ネジがかつて強く訴えたような,「たとえ越えられない壁があってもそこにある気持ちは真実」だという想いが伝わることで終わってほしいですけれど,さてどうなるでしょうか。高崎美咲は最初っから諦めているし,受け入れられない事情も示唆されているからなあ...最後まで目が離せません。まる。
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*画像は『恋と嘘』第118話及び『恋と嘘』第4巻から引用しました。