文化祭もいよいよ中盤戦。
いよいよ古橋さんが演じることを「強いられているんだ!」(CV:乃村健次さん)な眠り姫の劇が開演というところで,存在感がまったくなかったあしゅみー先輩が普通に歌っておられた。

先輩...? なにやってんだよ,先輩..!(CV:田村睦心さん)
お,おう。
割と余裕ですな,小美浪先輩。医学部浪人というお立場にもかかわらず,卒業した学校の文化祭でバンド活動などしておられる。まあそれを言ったら,メイド喫茶で働いている段階で「時間配分とは」というツッコミがはいるところですが,「そういう漫画」じゃないのでそこの事情はゴミ箱に捨てておこう。
そこの事情はまあゴミ箱に捨てておいて良いんですけれど,「伝説の先輩」と2年間も一緒に学園生活を過ごしていたのに,あしゅみー先輩を認識していなかった唯我成幸は一体全体なんなんだぜ...というツッコミ入れておきたい気がしますが。
多分に,文化祭のときも単語帳めくって勉強しているような今は亡き「キリッとした成幸」だったんだろうなあ...。
そんなあしゅみー先輩と古橋さんがここで邂逅している点は留意しておきたいね。今後の展開に関わって来る部分だからね。

あしゅみー先輩がギター背負ってやってきた
古橋さんは「あしゅみー先輩がギター背負って高校に来ている」ことを認識しましたよ,ここで。
...
......
ということを踏まえての「眠り姫」であります。
既に劇は開演というのに,王子役を予定していた成幸はニャンポレオンZの着ぐるみを着て先生方に追われている有様です。この段階で劇はほとんど破綻している。

うわ...この演劇「雑」すぎ...(@ty●e)
横たわる古橋さんが「雑」と思わずモノローグを流すほどの雑な進行であります。このあとの展開も含めてアレなんですけれど,この雑さ加減は「わざと」なんだね。
要するに,今回の眠り姫は「古橋さんと成幸を公然キスさせる」という目的を前提に,「いばらの会」の面々がクラスを巻き込んで劇を用意しているわけです。過程や詳細などどうでもいいのだぁ!(ディオ様)というノリで計画を立てられているわけです。まさに舞台というより「舞台装置」な眠り姫の演劇。
だから舞台も雑だし進行も雑。王子は「成幸」でなければならないので,学園長の余計な気回しも「いばらの会」からしてみればただの障害です。王子公募という段階でもはやギャグだし,眠りを覚ますキス云々以前にもう古橋さん怯えて目を覚ましているやん...というレベルの劇崩壊ぶりです。

なんて声,出してやがる...鹿島ー!(CV:細谷佳正さん)
この緩さ...あのジャンプ最長ラブコメでもなかなかお目にかかれなかったレベルの緩さである。つまりこれは「計算された雑さ加減」と見做してよかろう。描かれているものが「コメディ(ギャグ)」であることを意識して描かれているわけですな。
とまあかなり緩い物語進行です。ぶっちゃけ謎すぎなレベルであります。
...しかしまあ,ふと冷静になって振り返ってみると,恐らくこの「文化祭」シリーズには2つの視点が入っていんだろうなあと思ったり。
1. ヒロインズと成幸の間の関係性をさらに近づける
2. ヒロインズのサポートキャラの見せ場を作る
この2点ですね。
この演劇が古橋さんの意図と全く関係なく進行しているのは最初から明らかなわけで,そこでイニシアティブを持っているのは「いばらの会」の面々です。いわゆる猪鹿蝶さんです。
・武元さんがアイドルステージを行う上でのサポートキャラが「海っち・川っち」。
・緒方さんがジンクスを成功させるためのサポートキャラが「関城紗和子」さん。
・古橋さんと成幸を強制的に恋仲にしようと勝手にサポートしているのが「鹿島・猪森・蝶野」さん。
おそらくは,人気投票でそれなりの票数を得たサブキャラたちに,それなりの見せ場を見せてやろうというのが今回の趣旨の一つなんでしょうなあ...。

ツッコミが追いつかない緩さ
まあこうなると何でもありだな...と思わなくもないですが,それはそれ彼女らのDE・BA・Nを期待していた層への筒井先生なりの返答なんじゃないかと思ったり。
...ちなみに,桐須真冬先生のサポートキャラは誰だと思いますか?
本来は「桐須美春」さんなんでしょうけれど,彼女は実質的にサポートキャラになっていないですよね。もしかしたら,先生の「講義」のときに現れるかもしれませんが。
むしろ今のところ,実質的に桐須先生のサポートキャラとなっているのは「唯我成幸」なんじゃないかと僕は思うのですけれどね。
桐須先生の困難に対して助けを出し,彼女の窮地を救ったり,それができない娘たちとの距離感を縮めたり。それを桐須先生が恋愛的な意味で捉えていない点においても,成幸こそが先生の(漫画における活躍上の)サポートキャラなんだろうなと。
...
......
閑話休題。

なぜそこにいる!(ギャング・ベッジ)
なんやかんやで舞台の「直上」に現れた王子役(ただしニャンポレオンZ)の成幸。ふふ...ここもかなり「変」なんですけれどね。なんで体育館「床下」にあるダクトから入った成幸が「上」にいるんだろ...
しかしそういうツッコミは無しにして(こればっか),突然倒れる舞台セットの書き割りに対し,ついに成幸王子が舞台に参上。

ニャンポレオーーーーーンZ!(CV:もも●ロZ)
ぐったぐたの劇でしたが,いちおうここで王子(いばらの会が勝手に任命)が姫を救う形にはなっているんですね...。古橋姫の親衛隊のいばらの会よりも素早く着ぐるみのまま飛び込む辺り,成幸の人の良さが表れています。
さてここでの古橋さんの認識です。
王子役の公募男子が迫りくる,それを阻止しようといばらの会の面々が乱闘を始める,そんな中で舞台の書き割りが倒れたところを空から降ってきたニャンポレオンZが助けてくれる。そんな状況。

キヅイタ(第200話)
で,はたと気がついた。このニャンポレオンZには問題がある...じゃなかった,ギターがある。あの「あしゅみー先輩の」ギターを背負っているわけです,ニャンポレオンZが。
ここで古橋さんはこう認識したはずです。

ニャンポレオンZ=あしゅみー先輩という認識
「なんでかわからないけれども,ニャンポレオンZの着ぐるみを着た"あしゅみー先輩"が助けてくれた」
と。そしてこうも思ったわけです。
「この収拾をつけるためには,とにかく眠り姫が王子役とキスをして終わりにしなければならない」(じゃないと公募王子にキスされる)
と。この窮地を切り抜ける「たったひとつの冴えたやりかた」がある。それはこの着ぐるみのニャンポレオンZを王子と見立ててキスすることです。
だから「ごめんなさい」なんだよね。

ごめんなさい
古橋さんの認識では中の人は「あしゅみー先輩」です。中の人がどこぞの男子だったらきつかったでしょうけれど,中身が知人の女子だと思えばキスぐらいできる。着ぐるみの上からだし。突然で申し訳ないけれど,あしゅみー先輩助けて!っというのがこのときの古橋さんの気持ちだったんだと思いますよ。
古橋さん視点では「これでいいのだ」なわけです。「全く問題なし」なわけです。
......"お前がそう思うんならそうなんだろう お前ん中ではな!"

無問題なキス
ところがどっこい,そうは問屋がおろさないのが「古橋さん以外の人間」ですよ。
まずは猪鹿蝶やら舞台の演劇を観ていた面々から。
「あの」文学の森の眠り姫がキスした相手となれば,当然相手は誰なのか詮索せざるを得ないというもの。そりゃ大騒ぎだわさ。無論,古橋さん的には「いやいや,アレは卒業生の小美浪先輩だし。着ぐるみの上からだし」と説明すりゃいいと思うのでしょう。
しかし唯我成幸とのキスをもくろんでいた「いばらの会」の面々はそうはいかないのである。劇の主目的であった「成幸との公然キッス」は潰えたわけですから,当然ニャンポレオンZの正体を暴こうとはするでしょう。これがどうなるのか,というのが問題の1つ目。
...もう一つは他でもない,「唯我成幸」さんですよ。
わけも分からず手伝いを求められ,することもわからないまま「教え子」の古橋さんの身の危険に巻き込まれ助けたら,いきなり古橋文乃にキスされた。
はい,こういう状況になります。
いいですか。あの「姫コスプレ」の古橋さんがどんどん迫ってきて,着ぐるみ越しにキッスされるんですよ。これは赤面どころか硬直せざるを得ない。

唯我成幸の目がテン!
舞台上で「古橋姫とキスしたのは誰だ」と殺気立つ面々の中,フリーズするのはとても危険ですね...。まあ中の人は混乱してそれどころじゃないでしょうけれどね。
そこで古橋さんが「いやいや中の人はあしゅみー先輩だから」と正体を明かすよう促しなんかした日には,もうどうにもならないですね。僕が成幸の立場だったら,多分とりあえず逃げる。そりゃにげますわ,あの唯我成幸が古橋さんにキスされたなんて学校内に周知されたらたぶん男子社会的に死ぬ。それ以前に古橋さんと気まずい。かなり。
なので,おそらくは「成幸は遁走」するんでしょうなあ。逃げられるかわからないけれど。その時,古橋さんが一緒に逃げるかどうかはわかりませんが,その後に起こることは明々白々です。
もろもろ終わったあとに,あしゅみー先輩と再会した古橋さんが「礼」を言う。身に覚えがないあしゅみー先輩が「あれは後輩(成幸)だぜ」と告げる。または,「着ぐるみを着た状態の成幸とあしゅみー先輩が同時にいるところと出くわす」とかとか。
あるいは,この場では真相は明らかにならないのかもしれないね。あしゅみー先輩は「誤解をわざと解かない」というのもありかもしれないね。
その結果,唯我成幸の方は古橋さんを意識してしまうが,古橋さんはなんでそんな反応を取られるのかわからない...というギャップを楽しむのも乙かもしれん。まあ最終的には古橋さんも真相を知るんでしょうけれど。
なんにせよこの顛末の「肝」は,最終的に着ぐるみキッスの相手が成幸だったと古橋さんが認識するとところまでが流れでしょう。
...まあ,着ぐるみ越しですし。古橋さん的には「大したことない」ことで処理できるのでしょうけれど,問題はやはり成幸側だよなあー。どうしても「迫り来る古橋文乃さん」のイメージは鮮明に焼き付くだろう。ここまで「教え子」であり「姉」であった文乃さんを今後どう捉えるのか,私,気になります!
なおこの後「いばらの会」の面々は古橋さんに滅茶苦茶怒られた模様(未来視)
というところでまる。
...
......
.........
さて。さてさて。
一応来週にもお話は続くらしいので,前半はそんな流れなんだろうなあと。後半は多分別の流れ...それこそ先生の講義になるのかもしれないし,いよいよ花火を巡る「駆け引き」が武元さんや関城さんを通じて演じられるのかもしれませんけれど。
しっかしまあ,こんな出来事があったあとで,成幸が使い物になるのか心配ではある。
ここであしゅみー先輩も加わったことですし,多分に「ジンクス」とやらは五人のヒロインと同時に「絡まる(物理)」とかいうオチなんでしょうけれど...そんために暗躍しそうな関城さん,猪鹿蝶,海川コンビも見ものである。
つまり何が言いたいのかと言うと,「からかい上手のあしゅみー先輩」の臀部がエロいということであります。

フェチズムを感じる...
というわけで再度まる。
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*画像は『週刊少年ジャンプ』2018年第29号 「ぼくたちは勉強ができない」問.67 より引用しました。