ぼく勉世界にも台風がやってまいりました。またしても予告通りです。ジャンプラブコメで予告通り連発って感慨深いものがありますね...。

台風といえども鉄壁のスカート
さて,台風といえば当然ながら当番は黒髪ヒロインですよね。最終回に顔も描いてもらえないところまでがジャンプの常道です...なんて思っていたら,本当に古橋さんだったぜ。古橋さん,最終回に顔を描いてもらえるといいですね(そこ?)。
...で。まあお話の流れの面白さはいつもながらの筒井コメディだったわけですが,むしろ今回のポイントは古橋父とはどんな人物なのか情報解禁されたところかなと。

古橋父とは(問5.より
以前,古橋さんが山岡くんに告られたときには「威圧的な男の人が苦手」と言っていました。その流れで父はそういう人間だと。そんな物言いからのイメージは,どっちかというと娘に対して拘束的というか,自分の価値観を思いっきり押し付けるタイプと窺えたものです。
しかし今回の古橋さんの反応は,そう単純ではないニュアンスの複雑な父娘関係があるのかなと思わなくもなかったり。
「お父さんが家にいるから帰りたくない」との言は,古橋さん自身が父に対して苦手意識というか距離を取りたいというニュアンスなんでしょうね。それ自体は「威圧的な男の人が苦手だから同じ空間になるべく居たくない」という文脈で自然に成立します。

台風でも帰りたくない「お父さん」とは
一方で,古橋さんが成幸と外泊しようが,台風の日に夜遅くなろうが,「心配しない」という態度も古橋父は見せています。これはどういうことなんかいな。
威圧的であるけれど,拘束的ではない。そういうことなんかいな。
そう考えるとむしろ「娘に対しては基本的に無関心」というスタンスのように思えます。あるいは「家庭に無関心な仕事男」的なイメージでしょうか。
と同時に「威圧的である」ということなので,そこから浮かんでくる人物像は,家庭や娘に無関心ではあるけれども一度関心が向けば自分の意志を家族に有無を言わさず強いるようなタイプ...上から問答無用に命令することに慣れている人間という印象ですかね。
高級官僚もそういうイメージをもたれがちですけれど,裕福という点でちょっと違うかなと。あいつら出世の早い公務員ですけれど,豪邸建てるほど給料よくないっすから。となるとやはりビジネスマン...というか,会社経営者的な人間なんでしょうか。古橋さんちも裕福であるのは間違いないようですし。
なんかちょっとだけ,「かぐや様」の四宮父みたいなイメージに似ていますね...。国の心臓たる四宮家ほどの金持ちってわけでもなさそうなので,あくまで人物像がですけれど。

四宮父もかくありなん(「かぐや様は告らせたい」第34話 より)
もっとも,古橋父はもうちょっと小人物というか,器が小さい人間のような印象が古橋さんの物言いから感じなくもなく。中小企業経営者,あるいは成金的なそれですかね。あるいは,一発当てた芸能人やスポーツ選手的なそれというか。
貧乏の象徴である唯我家との対比であるならば会社経営者的な方がイメージがわきます。ま,「ツッコミの厳しい売れっ子関西芸人」でもいいんですけれど(文乃さん,謎弁使ってたし)。

謎弁使い,文乃
そして対比という意味では,緒方父との対比もあるのでしょうね。娘を溺愛する職人肌の緒方父と娘に無関心かつ威圧的な古橋父。娘達の文系・理系の対比が父親にも反映されているようにも思えますね。
そんな古橋父ですが,「話しても信じてもらえない」レベルのアレな人ということ。ふうむ,やはりこの父の存在が最後に古橋さんの壁になりそうですね。そこに成幸が絡んでいく展開なんでしょうなあ...。

人格に相当問題ありな予感
日頃娘に無関心なくせに,娘の夢や母に対する思いを無視して「お前はこうしろ」みたいなことを平然と言ってのけるような展開があるのかなと。それに対して成幸が彼女の努力や想いを一生懸命「先生」として説くような展開があるのかなと。そんな予感がしますね。
...と書いてみて,なんとなくジャンプ最長ラブコメの九州編を思い出さなくもなかったり。あまり設定を重くしすぎたり,展開を強引にしすぎたり,登場人物の言動が意味不明になったりすると読者がついていけなくなる可能性があるので,そこは気をつけてほしいかなとか。最も成幸は「教育係」として関与する必然性がありますので,そこまで強引なお話展開にはならないと思っていますけれど。
まあ当分先のこと,おそらくは入試直前の出願時か,三者面談あたりにそういうお話がくるんでしょうけれどね。
三者面談といえば,怠慢先生と古橋さんの和解的なエピソードも入るかもしれませんね。学校の三者面談に教育係の成幸が関与するのはおかしいので,担任または生徒指導の桐須先生が対応するのでしょうね。
その時,威圧的な父とタッグをくんで古橋さんに文系受験をすすめるのではなく,これまでの成幸と古橋さんの努力をみとめて味方になってくれるような。そんなデレ怠慢先生の姿も拝めそう。
最後に,恋愛的にはどうなるかですよね。

先生と生徒からの発展はあるのか?
父という自分にとって最大の壁を乗り越えるのに,成幸が「先生」として尽力してくれたら...。これは成幸に対する恋心を認めざるをえない展開になるんだろうなと。まあ普通そう考えますよね。
一方で,成幸にとって古橋さんの悩みを解決することは恋愛的には結びつかない行為なんですよね。あくまで「教育係」としての行動というか。恋愛的な意味をそこから発展させる余地が無いというか。そういう意味ではやはり古橋さんは恋愛的には結びつけない伏線みたいなものはあるのかな,と思ったり。
割と他のヒロインと比較して,お話を「重め」に持ってくるだけに恋愛的な結末も期待したくなる古橋文乃さんではあります。
が,これジャンプラブコメだからね! 「約束された敗北の黒髪ヒロインの呪縛」を断ち切れるかどうかは,すべて筒井先生と齋藤編集のさじ加減に掛かっている。
恋の勝者は十中八九,武元うるかだと思いますが,それでもちょっとだけ期待してみたくなる。そんな魅力が古橋回にはありますね...。
さて,考察ばかりで肝心のエピソードについて触れていなかったのですが,成幸さんがきちんと女心練習問題をクリアしつつあるのが面白かったです。前回の朝帰り写真取締り事件では言えなかった「デートみたいだな」というセリフを今回は自発的に言ってのけるという...。なんだこの「たらしめが...」感。

尾形百之助さん(ゴールデンカムイ)も絶賛!
父がいるから帰りたくないと言っていた古橋さんの機嫌も一気に回復です。本当に有難うございます。
本人はまだ目をそらしているんでしょうけれど,なんのかんので成幸に対する恋心があることを既にわかってしまっているような。そんな古橋さんの心の動きと言動がお可愛い。カップラーメンをすすり合うようなデートでもいい...そんな清貧な唯我家に嫁ぐ覚悟は無自覚にあるようで(おい)
大切なのは誰とその時間を共有するか,ですからね。というわけで今回の感想はまる。
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*画像は『週刊少年ジャンプ』2018年第19号 「ぼくたちは勉強ができない」問.58 ,同 問.5 ,「かぐや様は告らせたい」第34話 ,「ゴールデンカムイ」第103話より引用しました。