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『ぼくたちは勉強ができない』 問57.天才の変貌は時に[x]の盲目となる 感想

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さてと。『週刊少年ジャンプ2018年第18号』 「ぼくたちは勉強ができない」問57.天才の変貌は時に[x]の盲目となる の感想(ぼく勉 57話 感想)です。


センターカラーの扉絵は緒方理珠さんです。



ホットパンツ!


劇中では二学期が始まったばかりですけれど,思いっきり春な格好。まあ扉ぐらいは季節感がないといかんですよ! といいつつかなり初夏めいた格好にも見えますが。

自慢の隻乳に目が行きがちでありますが,その実ポイントはホットパンツである。ホットパンツは最高派としてはうれしい誤算ですね(謎目線)。胸部よりもそっちに目が行くあたり,相変わらず下半身寄りのフェチズムである。


そしておまけ漫画は久々登場の水希さんである。いわゆるSEISAIである。


問おう。貴方が私のマスター(亭主)か?

ぼく勉とはずばり唯我成幸の正妻をめぐる正妻戦争なわけですが,生まれながらにしてSEISAIというポジションを得られる「実妹」という彼女の存在は正妻戦争の最後の壁として立ちふさがるのであろう。

成幸の恋人というポジションを取れたヒロインは,最後に成幸の散髪の担当の座を水鬼...もとい水希から奪い取るという真・正妻戦争を勝ち抜かなければならない。そんなFate / Beautician Order.


...
......


というわけで,予告どおり今回は緒方さんの美容室回。「ぼく勉」は予告詐欺があまりないのが特徴ですね。なかなかに誠実である。

ぶっちゃけお話作りが一番難しいのは緒方さんなんじゃないかという今日この頃。というのも,彼女は他者の感情を理解することが最終目標なので,どうしても現在は相手の行動を正しく理解したり,相手の言動の裏にある感情を読み取れないんですよね。

その結果,読者視点から見るとどうしても「不思議ちゃん」みたいな反応が多くなってしまう。もちのろんですが,劇中の登場人物も彼女のディスコミュニケーションに基づく「意識のずれ」を受け止めながらの行動になるので,掛け合いがどうしてもちぐはぐとなるというか。

そんなディスコミュニケーションの妙をコメディにしていくのが漫画家の技法ということになるのですが,今回はうまくはまったかなと思います。


前髪ぱっつんになってしまった緒方さんが美容室に行けば,エキセントリックな美容師が理珠さんをメタモルフォーゼしてくれるという。その結果がこちらになります。



メタモルフォーゼ

うお,まぶし!

あのちんまりしたところが魅力の緒方さんがキラキラ美少女になっておられる。いや,元から美少女ですけれど。

僕が気になったのは,髪の長さがどうとかいうよりも「目」ですかね。漫画表現がコミになっているとはいえ,いつもよりお目目パッチリな感じがするのが印象の変化のポイントになっているように感じます。

ふむ。これはコンタクトによるメガネフレームが無くなった効果に加えてつけまつげを盛っているのでしょうか。美容師の呪文詠唱の意味が半分ぐらいしか分からなかったのですけれど。


そんなキラキラkawaii美少女になってしまった緒方さんに対する唯我成幸の反応がこちらになります。



誰?

あ,はい。

朴念仁にもほどがありますね。というか,お前,緒方さんがメガネはずしたところ見たことあるだろう...。何で分からんの? アホの子なの?

まあ成幸を弁護してあげれば,盛りモリに異物拡張されてエクステつけてロン毛にされているし,恐らく普段は(店に出るので)つけていないであろう香水なんかも軽くはたいてあるのだろうしね。仕方が無い部分はあるのかもしれないけれどね。


というわけで,一緒に勉強するはずの緒方さんが隣にいることに気がつかないまま,成幸と理珠さんの勉強は始まるのであった。



...しかしこの評価はなかなか難しいね。

成幸が最初に意識したのは「見知らぬ美少女」であるところの緒方さんなんですが,それが勉強が始まったらすぐに普段の成幸に戻ります。


先生モード

うん,やっぱり成幸は天性の「先生」属性な男なんだろうな。

教える相手に対しては女性を意識しないというか。あくまで「教え子」として接するというか。この時はあいてが超絶美少女だろうとなんだろうと素面なんですよねえ。

そして話の流れで「緒方さんとは認識していない緒方さんな美少女」に対して「緒方さん」について語る(ええいややこしい!)ときの評価こそ,唯我成幸が緒方さんをどう思っているのかという証拠になるんですけれど...。


うん。

緒方さんの反応が物語っていると思うのですけれど,「なんか可愛くてほっとけない」という文字面からは女の子としての緒方理珠をどう思っているのかという風に聞こえる。そこにキュンと胸が締め付けられるわけですけれど,それが「リスみたいで」と言われたときにはほっとする。


感情を半分ぐらい理解する理珠

唯我成幸に女子として好印象を抱かれたというときにトキメキを感じつつも,それが女の子としてはなく哀願動物的な「可愛い」という評価だったことににちょっと安心する。

言い換えれば,成幸は女子として特別な思いを抱いているわけではないということなのかと思います。


そんな成幸の「返し」に一瞬ほっとしたのは,自分の中の気持ちが未整理で理解できていないことが大きいのかなと。もし成幸が女の子として自分のことを好きだったらどうしようという一種のおそれ。躊躇。そんなものが緒方さんの中にはたぶんあって,それが「違う」ことにちょっとほっとしてしまったのかなと。

この段階では。



もやもや

それが次の瞬間「どうも釈然としない」「なんでしょうこの胸のもやもやは」という反応になったのは,自分の中にある唯我成幸に対する無意識な恋心と照らしあせた結果なんでしょうなあ。

あれ,唯我さんは私のことを女の子としてみてくれていないのかなと。好いてくれないのかなと。そんな無意識からうまれた「もやもや」が緒方さんを苛立たせたんでしょうね。


で,攻める。

ほほう。緒方さん,成幸の感情を理解するという恋のレッスンをクリアするばかりではなく,無意識に相手を攻めに行きますか。超絶美少女モードを駆使して。


攻めダルマ

ま,いろいろ作戦を駆使しているようでその実,例の美容師さんの助言を言葉通りに実行しているあたり,まだまだ「機械仕掛けの親指姫」なんだなあというところがきちんと描かれているというか。プログラムをそのまんま実行する機械みたいなところが。そんなところに緒方さんの成長はまだまだこれからということを感じます。

そんな緒方さんがとてもお可愛かった,第57話でした。まる。


...
......

何気に「めっちゃいい匂い」という評価をされているのである。師匠の立場は...。


師匠の立場がまた無くなりつつある...

もっとも師匠は同じ風呂とシャンプーをつかったのに漂ういい匂いらしいので,理珠さんとは別のフェロモンがでているのかもしれない。「いい匂い」をめぐる正妻戦争もひそかに勃発中である。




さて今回の「お勉強」はとりかえばや物語である。

とりかえばや物語は現代でいうならば「男の娘の話」の相当するような内容だと思うのですが(おい),こんな平安時代から男女を入れ替えたお話が作られていたというのもある意味日本的やなあ...と思ったり。

そんなに長いお話でもないので,古典に興味がある人は読んでみてもいいと思います。僕は10代のころに故・氷室冴子先生の「ざ・ちぇんじ!」(集英社・コバルト文庫)で知りましたけれど,こっちは現代語で適度にラノベアレンジされているので読みやすいかもしれません。それを基に山内直美先生が漫画化しているので,文章がだめな人はそちらをどうそ。


作中では「こは,いかでかくのみはなりはて給にか」(どうしてこんなに美しくなってしまったのか)が設問に出されていましたけれど,これはどう判断するかだね。



こは,いかでかくのみはなりはて給に

件の美少女が緒方さんだったと気づいた後のこの成幸の言は,教え子としてではなく純粋に「女の子」としての評価と思われますが...。美しさを再度認識したということが恋心につながっていくのかどうか。

それはまた別のお話。


...というわけで再度まる。


(おまけ)調査中です。よろしければ。

【調査】Twitterのタイムライン,全部見ていますか?

— ayumie (@ayumie) 2018年3月30日







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*画像は『週刊少年ジャンプ』2018年第18号 「ぼくたちは勉強ができない」問57 より引用しました。

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